〖西武渋谷店閉店〗『成瀬は天下を取りにいく』を思い出した。私が成瀬ファンになった理由

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こんにちは、北海道で図書館司書をしている「みろく」です。

2026年9月30日、西武渋谷店が営業を終了しました。

西武・そごうの公式サイトを見ると、西武渋谷店は1968年から58年間、渋谷の街とともに歩んできたそうです。

「西武渋谷店が閉店するんだ」とニュースを見ていたら、ふと一冊の本を思い出しました。

宮島未奈さんの『成瀬は天下を取りにいく』です。

「そういえば、成瀬の物語も西武百貨店の閉店から始まるんだった!」

そこから、私自身の札幌西武の思い出まで、次々によみがえってきました。

今回は、そんな西武百貨店の思い出と、『成瀬は天下を取りにいく』を読んで私が成瀬のファンになった話を書いてみたいと思います。

私にとって札幌西武は、母とよく出かけた場所でした

私にとって西武百貨店といえば、札幌西武。

母とよく一緒に出かけた、ちょっと特別な百貨店でした。

食べ物を買ったり、服を見たり、本を探したり。

ロフトをのぞくのも楽しみのひとつでした。

「何か買いたいものがある」と思ったときに、自然と足が向く場所。

私にとって西武は、そんな存在だったんですよね。

だから、今回の西武渋谷店の閉店というニュースを見て、単なる「百貨店がひとつ閉店する」というニュース以上に、なんだか胸に引っかかるものがありました。

そして思い出したのが、『成瀬は天下を取りにいく』だったのです。

『成瀬は天下を取りにいく』は、西武大津店の閉店から始まる

『成瀬は天下を取りにいく』の最初の短編は、「ありがとう西武大津店」。

主人公の成瀬あかりは、中学2年生。

閉店を間近に控えた西武大津店に毎日通い、ローカル番組の中継に映ろうとします。

しかも、西武ライオンズのユニフォームを着て。

北海道民の私が読むと、

「夕方の『どさんこワイド』みたいな番組の中継かな?」

なんて、勝手に札幌のテレビ番組を思い浮かべてしまいました。

もちろん実際は、滋賀県のローカル番組です。

でも、これがもう、最初から面白い。

「なんでそんなことするの?」

と思うのに、成瀬本人はいたって真剣。

この「ちょっと変わっているのに、本人はいたって普通」というところが、成瀬の魅力なのかもしれません。

実は私、最初に読んだのは2巻でした

ここで、私のちょっと変則的な『成瀬』との出会いを。

ものすごく人気の本で、図書館でもいつまで経っても予約待ちが続いている印象がありました。

そんな中、私はたまたま先に2巻の『成瀬は信じた道をいく』を読むことになりました。

そして、ちょっと読んでみるつもりが……

面白くて、結局全部読んでしまったんです。

そのあとで1巻の『成瀬は天下を取りにいく』を読みました。

すると、

「ああ、やっぱり1巻から読むものなんだな」

と、ものすごく当たり前のことを実感しました(笑)。

登場人物との関係や、成瀬という女の子がどういうふうに周りの人たちと関わってきたのか。

それを知ってから2巻を読むほうが、やっぱり面白い。

とはいえ、2巻から読んでしまった私だからこそ、1巻を読んだときには「成瀬って、こういう子だったんだ!」という発見もありました。

そして、私はすっかり成瀬のファンになってしまいました。

これから『成瀬』を読むなら、やっぱり1巻目の『成瀬は天下を取りにいく』から読むのがおすすめです。

成瀬あかりは、ちょっと変わっている。でも、どこか近くにいそう

成瀬は、ちょっと変わっています。

ものすごく個性的なのに、遠い世界の人という感じではありません。

むしろ、どこか近くにいそうな子。

でも、そんな成瀬を見ていると、ふと思うんです。

もしかしたら成瀬は、自分自身の中にもあるものを、まっすぐ表に出しているだけなのかもしれないな、と。

「本当はやってみたい」

「こうしてみたい」

そう思っていても、恥ずかしかったり、面倒だったり、周りの目が気になったりして、結局やらない。

私自身にも、そういうことはあります。

でも成瀬は、やる。

やりたいと思ったことを、実直にやる。

一本筋を通して、自分のやりたいことをやってのける。

それが、私にはちょっとうらやましい。

だから成瀬は「変わった子」なのに、読んでいるうちにどんどん気になってくるのかもしれません。

主人公なのに、成瀬自身ではなく「周りの人」が成瀬を語っていく

『成瀬は天下を取りにいく』を読んで、もうひとつ面白いと思ったのが、物語の語り方です。

主人公は成瀬あかり。

なのに、成瀬自身が「私はこんな人間です」と語っていくわけではありません。

成瀬を取り巻く人たちが、それぞれの視点から成瀬を見ている。

成瀬を慕って近づいてくる人もいる。

一方で、

「ちょっと変わった子だから、できればあまり近づきたくない」

と、遠巻きに見ている人もいる。

ところが、いつの間にか成瀬のペースに巻き込まれていく。

そして気づけば、成瀬に魅了されている。

もっとほかの人にも成瀬のことを知ってほしいと思いながら、

「でも、できれば自分だけが知っていたい」

という、ちょっと嫉妬にも似た気持ちまで生まれてくる。

そんな語り手の意図とは相反して、成瀬は行動半径を広げどんどん認知されて行ってしまう。

その感じが、すごく面白いんです。

読んでいる私まで、いつの間にか成瀬の周りの人たちと同じような気持ちになっていました。

「この子、なんなんだろう」

と思っていたはずなのに、

「もっと成瀬のことを知りたい」

になっている。

これって、成瀬の強烈な魅力ですよね。

ついに3巻が出て、私は1巻と2巻を自分で買いました

成瀬あかりの物語は、1巻、2巻と続き、ついに3巻目となる『成瀬は都を駆け抜ける』まで出ました。

そして1巻と2巻は文庫になりました。

これから成瀬シリーズを読むなら、私はやっぱり1巻目の『成瀬は天下を取りにいく』から読むのがおすすめです。

すっかり成瀬ファンになった私は、とうとう1巻と2巻を自分で購入。

図書館で借りるだけではなく、

「これは手元に置いておきたい」

と思ったんです。

図書館司書なのに、自分で本を買う。

もちろん、あります(笑)。

むしろ、本当に好きになった本ほど「手元に置いておきたい」と思うこともあります。

今回の成瀬は、まさにそれでした。

1巻を読んで成瀬の物語をもっと読みたくなった方は、2巻の『成瀬は信じた道をいく』もぜひ。

西武百貨店の閉店から、こんな物語が生まれたことが面白い

今回、西武渋谷店の閉店をきっかけに『成瀬は天下を取りにいく』を思い出しました。

私自身にも、札幌西武の思い出がある。

そして成瀬にも、西武大津店という大切な場所がある。

百貨店は、買い物をする場所というだけではなく、そこで過ごした人それぞれの思い出が積み重なっている場所なのかもしれません。

そんな「閉店」という出来事から、成瀬というひとりの女の子の物語が生まれた。

そして、その物語を読んだ私が、今度は自分の西武の思い出を思い出している。

そう考えると、本って不思議です。

ひとつの物語が、別の誰かの記憶を呼び起こしてくれる。

成瀬を読んでいたら、なんだか少し泣きたくなった

今回、記事を書くために『成瀬は天下を取りにいく』をもう一度読み返しました。

やっぱり面白い。

でも、読みながら、なぜだか少し涙が出てきました。

うれしいような。

ちょっと寂しいような。

成瀬のことをもっと知りたい気持ちと、この物語を読める時間を大切にしたいような気持ちが、百貨店の閉店という自分では止めることができない出来事を通して入り混じったのかもしれません。

そして、成瀬を読んでいると、

「自分も、もう少しやりたいと思ったことをやってみてもいいのかな」

なんて思えてきます。

恥ずかしいから。

面倒だから。

今さらだから。

そんな理由で、やらずに終わってしまうことって、きっと誰にでもあります。

成瀬は、そんな私たちの代わりに、思い切りやってくれる。

だから読んでいて、面白い。

そして、ちょっとまぶしい。

私もすっかり成瀬あかりのファンになりました。

渋谷の西武百貨店の閉店というニュースから、思いがけず成瀬のところへ寄り道してしまいましたが、今回の寄り道は、なんだかちょっと特別だった気がします。

まだ『成瀬』を読んだことがない方には、ぜひ1巻の『成瀬は天下を取りにいく』から。

成瀬あかりがどんなふうに周りの人を巻き込み、そして読んでいる私たちまで魅了していくのか。

ぜひ読んでみてください。

私もこれから、成瀬の物語を大切に本棚に置いておこうと思います。

作者の宮島未奈さん、成瀬を生んでくれてありがとう!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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