こんにちは、北海道で図書館司書をしている「みろく」です。
みなさんは、図書館を利用するとき、どんなことを思い浮かべますか?
本を借りる場所、静かに読書をする場所、調べものをする場所……。
もちろん、それも図書館の大切な役割です。
でも、図書館の仕事は、本を貸して返してもらうだけではありません。
利用者の個人情報を守ったり、傷んだ本に対応したり、子どもたちに楽しんでもらえる絵本を選んだり。
実は、見えないところにもたくさんの仕事があるんです。
今回ご紹介するのは、NHK夜ドラでも話題の『税金で買った本 小説1』。
実際に読んでみると、「これ、図書館でもあるある!」と思う場面がいくつもありました。
今回は、現役司書の私が特に印象に残ったエピソードを、実際の図書館の仕事と重ねながらご紹介します。
『税金で買った本 小説1』ってどんな本?
『税金で買った本 小説1』は、ずいのさんによる人気作品を原作とした小説です。
図書館を舞台に、利用者やそこで働く人たち、本をめぐるさまざまな出来事が描かれています。
図書館というと、静かで落ち着いた場所というイメージが強いかもしれません。
けれど、そこでは毎日、本の貸し出しや返却だけでなく、利用者への対応や本の管理など、さまざまな仕事が行われています。
この作品には、そんな図書館の日常や、そこで働く人たちの姿が描かれています。
NHK夜ドラをきっかけに興味を持った方もいるのではないでしょうか。
私も図書館で働く司書として、どんなふうに描かれているのか気になり、読んでみました。
読んでいて特に印象に残ったのは、図書館の仕事には、外から見ただけではわからない細かな気配りや確認がたくさんあるということです。
ここからは、実際の仕事を思い出した3つのポイントをご紹介します。
① 図書館の個人情報管理は、とても厳しい!
まず、図書館の仕事で欠かせないのが、利用者の個人情報を守ることです。
図書館では、本を借りた方に、借りた本の明細や返却日が記載されたレシートをお渡しします。
このレシート、しおり代わりに使う方もいるんですよね。
そして、そのまま本に挟んで返却されることもあります。
レシートは薄い紙なので、本の中に挟まっていても気づきにくいもの。
返却された本の中身を確認するときに見落として、そのまま本棚に戻してしまうと、次に借りた方から「レシートが挟まっていました」と指摘されることもあります。
しおり代わりにしていなくても、開いた表紙の裏側に入っている場合もあるため、そこも確認しなければなりません。
何気ないレシートですが、借りた本のタイトルがわかる情報でもあります。
また、本を予約するときに記入していただく予約票も、取り扱いには注意が必要です。
カウンターの上に出したままにしておくと、ほかの方の目に触れてしまう可能性があります。
個人情報の取り扱いについては、私の職場でも毎年研修が行われ、厳しく注意されています。
予約本の受け渡しを間違えてしまい、別の利用者に予約情報が渡ってしまえば、重大な個人情報の問題につながります。
図書館で借りた本のタイトルから、その人の興味や関心が知られてしまうこともありますよね。
だからこそ、図書館では本を貸し出すときも、返却された本を確認するときも、細かなところまで気を配る必要があるのです。
本をきちんと管理することは、利用者のプライバシーを守ることにもつながっている。
これは、図書館で働くうえで、決して忘れてはいけないことだと感じています。
② 雪でぬれた本、コーヒーで汚れた本……返却された本にもいろいろな出来事が
北海道で暮らしていると、冬の雪は身近なもの。
図書館でも、返却された本に雪や雨がついていることがあります。
車から図書館に入るまでの短い時間でも、本の上に雪が降ってしまうことがあるんです。
紙は水分を含むと、乾いたあとに波打ったり、ゆがんだりすることがあります。
そうなると、返却された本の中身を確認しようとしても、ページをパラパラとめくりにくくなってしまいます。
本が傷んでいないか確認したくても、簡単にはいかないことがあるんですね。
もちろん、ぬれた本ばかりではありません。
コーヒーをこぼしてしまった本や、お菓子のくずが挟まっている本に出会うこともあります。
たばこのにおいがついてしまい、取り除くのに苦労することもあります。
図書館の本は、ひとりの利用者だけのものではありません。
返却されたあとには、また別の方が借りることになります。
だからこそ、本がどのような状態で返ってきたのかを確認することも、大切な仕事なのです。
本を汚したり、傷めたりしたらどうなるの?
本が傷んでしまった場合には、状況を確認し、必要に応じて「事故届」を作成してもらいます。
弁償が必要な場合、私の職場では、弁償する意思のある方に、同じ本を購入していただく形で対応しています。
図書館では、本屋さんのように現金の受け渡しをして弁償してもらうわけではありません。
また、弁償に応じてもらえない場合にも、事故届の作成や注意など、定められた手順に沿って対応します。
こうしたルールは、図書館によって取り扱いが異なる場合がありますが、本を大切に扱い、次に利用する方へつなぐという目的は同じです。
本は、借りている間だけ自分のものになるわけではありません。
次に読む人のためにも、きれいな状態で返すことを心がけたいですね。
③ お話し会の絵本選びは、思っている以上に難しい!
図書館の児童サービスにも、さまざまな仕事があります。
そのひとつが、子どもたちへの読み聞かせです。
私の職場では週に一度、お話し会を行っています。
そこで必要になるのが、当日読む絵本を選ぶこと。
簡単そうに思えるかもしれませんが、実はなかなか難しいんです。
参加する子どもたちは、赤ちゃんから小学校低学年くらいまで、年齢が幅広いことがあります。
赤ちゃんが楽しめる絵本と、小学生が興味を持つ絵本では、内容も長さも違いますよね。
そのため、どんな子どもたちが来ても楽しめるように、読む本を考えなければなりません。
絵本を選ぶときには、言葉のリズムや絵の見やすさ、子どもたちが集中して聞ける長さなど、いろいろなことを考えます。
そして、実際に読んでみると、子どもたちの反応はさまざま。
一生懸命読んでも、思うように聞いてもらえないこともあります。
小さな子どもたちに楽しんでもらうのは、簡単なことではありません。
そんなとき、頼りになるのが読み聞かせボランティアの方たちです。
私の職場で活動されているボランティアの方たちは、絵本選びも子どもたちへの接し方もとても上手。
小さな子どもをあやしたり、興味を引きつけたりする姿を見ていると、経験の積み重ねってすごいなと感じます。
司書だからといって、何でも上手にできるわけではありません。
私自身、読み聞かせをしていて難しさを感じることもあります。
だからこそ、経験豊富なボランティアの方たちから学ぶこともたくさんあるのです。
図書館は、本をそろえて貸し出すだけでなく、子どもたちが本と出会うきっかけをつくる場所でもあります。
そのために、絵本を選び、準備をし、子どもたちと向き合う。
そんな仕事も、図書館の大切な役割のひとつです。
私が読んだ本を、「面白かったから借りて帰りたい」と言って借りてくださることもあり、そんな時はとても充実したやりがいを感じます。
『税金で買った本』を読んで、図書館の仕事を改めて考えた
今回、『税金で買った本 小説1』を読んで、改めて感じたのは、図書館の仕事には、利用者からは見えにくい作業がたくさんあるということです。
利用者の個人情報を守ること。
返却された本の状態を確認し、必要な対応をすること。
子どもたちに楽しんでもらえる絵本を選ぶこと。
どれも、毎日の業務の中にある仕事です。
普段、図書館を利用していると、カウンターで本を借りて返すことが中心に見えるかもしれません。
でも、その前後には、確認や準備、記録、そして次に利用する方への気配りがあります。
もちろん、小説と実際の図書館では違う部分もありますし、図書館によって仕事の進め方やルールも異なります。
それでも、作品を読みながら「これ、あるある!」と思える場面があるのは、図書館で働いているからこその楽しみでした。
NHK夜ドラをきっかけに『税金で買った本』が気になっている方も、図書館が好きな方も、ぜひ小説版を手に取ってみてはいかがでしょうか。
本を読むことで、いつもの図書館が少し違って見えるかもしれません。
私もこれから、司書として働く中で感じたことや、本との出会いをブログでご紹介していきたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!



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